湯舟につかる かの如く パイプの中に居り
地下迷宮と化した サブウェイを 行ったり来たり 番地を答えよ 行き先はどちら 地下に咲く曼珠沙華が唄う ねむの木もご機嫌 袋小路はどこまでも ちょうどその時 かれらのベッドは もぬけの殻だった
あたしの故郷では 腹に何かを隠し持った 密入国者を 龍が啄ばみて はじき出す ビルとビルのすき間から 龍が垂直に飛び出して 曇り空にゴロゴロと 音を立てている 商店街は龍の寝ぐらだ
夕焼け空に UFOあらわれて あの娘の帽子になりたいと 着陸 あの娘のあたまはヘリポート 再離陸
見知らぬおじさん あらわれて ボン ボン ボンネット ボン ボン ボンネット 跳ねる 転がる ピカピカ ボンネット
かつて唱和の時代には いたるところに電話BOX 宿無し天使が電話帳めくって 夜も更けて
キノコの如く 生える ビルとビルの あいだ 通りを ひとまたぎ 街を ひとまたぎ ダイダラガールが ゆく
肢体 全てを使って 男を誘惑する 現代の浮かれ女たち 黄昏時に 街に現れては 身体ふるわせて 魅惑の音を 響かせる
目が覚めたら 枕元に 女看守が 立っている 俺は 幸せを感じて 再び まどろみ 眠りに落ちた その瞬間 鞭で打たれた ああ これは現実なのだ
北風が 星を吹き飛ばす 夜空を駆ける セールスマン 地獄の一丁目から九丁目 優良物件かかえて 闊歩する 黄金のアタッシュケースには 札束と契約書
走るあの子の ポニーテールが 弾んで 追跡ポリスの 速度は上がる ちょっと そこの君 待ちなさい 止まりなさい 生徒手帳を出しなさい あの子は そんなのシカトして 水たまり跳び越えて どこまでも